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NO122 受験の心構え

2022.01.22

昨年は社内で税理士としての仕事をしながら社労士試験に合格した人がいます。忙しく仕事をしながらも法人税法に合格した人もいます。いずれも普段の仕事を忙しくしている中での合格に頭が下がります。ダラダラした時間を過ごすこともなく、早朝の時間や隙間の時間を勉強に充てて見事に合格です。
難関試験に合格していく人は、何か特別な努力や工夫をしていて、自分なりの形を作り上げています。
以前、速報税理(ぎょうせい)の「受験生に送るメッセージ」と題したコーナーで、私の体験を書かせていただいたことがありました。私は独学でしたので、他の受験生とは異なるスタイルを確立していましたが、社会科学の分野であれば、勉強の基本形は独学だと思います。当時の記事を転載させてもらいます。

2018.11.11号 自分の個性のままの受験と仕事

 税理士試験を受験したきっかけは、大学に入学して半年ほど経った時に友人から誘われたことだった。大学受験の受験熱がクールダウンしてきたタイミングでもあり、何か熱中できることを探していたのだと思う。税理士という資格を聞いたのは、誘われた時が始めてだった。

 簿記は初学だったが、資格の学校には通わなかった。それまで学習塾に通った経験がなかったことも理由だが、単純にお金がなかった。学校に通わず、安物の小さな電卓を使い、参考書の類は1科目1冊にとどめ、受験の月刊誌も春先から数ヶ月間のみ購読する、といった節約の徹底ぶりだった。思い切って自分に投資できない性分のせいでもあったと思う。さらには、極力お金をかけないことで、後になってから受験を諦めるという選択を迷わずできるようにしておきたかった。

 実際に簿記の勉強を始めてみると、高校までの勉強とは違った面白さを感じた。大学3年生のときに日商簿記1級と、簿記論・財務諸表論に合格。新卒で税理士事務所に採用してもらうためにも、就職活動前の3年生のときに結果を出しておきたかったので、非常に有難かった。そのおかげで、4年生になってからの就職活動で無事に税理士事務所で内定をいただけた。

 通学でも通信でも資格の学校を利用するよう、周りの方から助言をいただくことがあった。考えなくもなかったが、社会人1年目に法人税法に合格したことで、今後学校を利用する積極的な理由がなくなった。結局、独学のまま受験を続け、何とか所得税法と相続税法に合格することができた。

 受験を振り返れば、いつも最悪のリスクを想定して勉強していたように思う。消費税法は受験まではしたものの理解した実感が得られず、合格に年数がかかる可能性を考えて、その後の受験はやめた。ヤマは絶対に張らなかった。試験委員対策は行わなかった。過去問から傾向を推測することもしなかった。見たことのない理論の問題が出ても、計算問題の知識から回答できるよう、常に関連させて勉強してきた。見たことのない計算の問題が出ても、常識を頼りに解答できるように、税法感覚を身につけるつもりで、日々理解に努めた。運をつかむというより、運に左右されない受験を心がけてきた。

 このときの自らのスタンスが、そのまま仕事に影響しているように感じる。関与先に損をさせることを常に怖れ、関与先が抱えるリスクを回避できるようなアイデアを絞り出すべく頭を回転させる。経営者の方には無用なリスクの心配なく経営を行い、不安のない生活を送って欲しい。

 自分自身の性分そのままに受験をし、ありのままに仕事をすることが許されているのは、何より幸せだと実感している。自らの個性を受け入れてくれているお客様に感謝するとともに、その個性のまま仕事ができる税理士という仕事に辿り着けた運にも感謝している。

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